就業規則の意義は安心して働ける職場を作ることであり、就業規則は会社と従業員の双方が契約者となり、当事者双方の権利・義務の関係を明確にするものです。今までの就業規則は従業員の労働トラブルから会社を守ることが目的で作られているところがあります。会社が作るものですが、決して最初から従業員の性悪説からの立場をとるべきではないと考えます。就業規則は会社と従業員との双方向のルールブックでありますが、会社と従業員が力を合わせて、より良い働き甲斐のある働く高揚感の高まる会社にしていく目的のものであるはずです。

また、巷にはひな型的なモデル就業規則もありますが、それらは小手先だけの魂の入らない形だけの就業規則になり、問題発生時に大きなリスクを伴います。この就業規則にこそ経営者様と従業員との共有できる理念を織り込む必要があり、御社独自のカラーを出し、厳しく従業員に向き合うときと時には従業員の寄り添うメリハリの利いた「人を大切にする会社の就業規則」を目指します。長い人生の中には、親の介護をしなければならなくなったり、自分自身ががんに罹患し、療養と就業とを両立しなければならないときがあるかもしれません。その時々のライフスタイルに合わせていく必要があるときもあるかと思います。現在では3人に1人が、現役の就業世代ががんに罹患すると言われています。経営者様と相談し、そのような人たちも安心して働ける会社であり、また人を大切にする会社であり、強い会社の就業規則を作成いたします。

 

就業規則の注意点

総則の中のこの就業規則の適用範囲が明確にしておく必要があります。雇用形態は、正社員、パートタイマー、契約社員、嘱託社員などとありますが、その適用範囲を特定しておかないと、正社員を念頭に作成した就業規則にも関わらず、契約社員、嘱託社員も適用になるのかと間違った認識になる場合があります。特に、契約社員(又は嘱託社員)の就業規則は”別に定めるところによる”と記載していても実際は作成してなければ、契約社員などの有期雇用労働者から自分たちの就業規則がないので正社員と同様に退職金が出るものと考えていたと訴訟になった時に、その正社員用の就業規則が適用になると裁判所で判断されることもあります。

 

古い従来に多い就業規則とリスク管理型の就業規則の違いは、例えばですが ①使用期間の中で、又は入社1年目のメンタル不調による休職をどう扱うのか、②特別休暇の日数は通算なのか? 連続なのか?の記載があるかどうか ③有給休暇の消化の計算を持ち越し分から行うのか、新たに発生した分から消化させるのか明確にしているか?(有給休暇の時効は2年です)④ 休職、復職の際にその休職期間を過ぎても復帰できない場合は”自然退職”の文言になっているか? などです。特にメンタル不調の従業員の方が多い時代ですが、規定は少し厳しく作成し、運用は緩やかにというのが重要です。

 

就業規則は会社のバイブルであり、ルールブックですので、会社独自の思いを込めた内容にする必要があります。また、先ほどの精神疾患などで休業に入るときの規定、復職する時の規定、或いは休職日数をどのようにするのかや、服務規律、懲戒、解雇などを慎重に考慮し、細かく内容を作っていく必要があります。様々な変化のリスクを想定し、しかし余りにも会社側に偏ったものでなく、従業員の方にも配慮した将来的に長く持続可能な会社であるように就業規則の作成に支援致します。