働き方改革の3本柱

  • 同一労働同一賃金

正社員と有期労働者(契約社員、パート労働者、嘱託、派遣社員)との処遇差の解消の義務化です。

同一労働同一賃金では、正社員と有期労働者との賃金なり処遇が違うのであれば、なぜ違うのかを説明しなければなりません。そのために、正社員の仕事と有期労働者の仕事の職務を棚卸して分析する必要があります。有期の方から処遇、労働条件の違いの理由を説明を求められたときは、合理的に説明できるように準備をしておく必要があります。また、同時に人事評価を導入したい会社様も多いので、合わせて人事評価を会社の昇給、賞与の計算基礎となるように社員の方々の納得感の得られる人事制度の構築の支援いたします。

  • 有給休暇5日取得義務

ワークライフバランスを取り、男性も子育てに参加できるように有給休暇の5日間の取得義務があります。1年で10日以上発生 した人でその内、自主的に5日以上取る社員の方は対象外で、5日も取らない方は、会社側から日にちを指定してまでも5日は取らせる必要があります。付与日が2019/4/1以降の社員が対象となります。     

  • 長時間労働削減

長時間労働の弊害は沢山あります。ワークライフバランスが取れないのはもちろんですが、日本の少子化問題である夫が子育てに参加できない状況の打破、従来の長時間が当たり前の社会へは女性労働者の参加しづらいこと、また世界的に見て長時間による労働生産性の低下などがあります。東芝事件にあるように過労死問題は、世界的に見ても長時間労働で死に結びつくなんて考えられないことです。そのようなこともあり、今まで青天井であった残業時間に上限規制が設けられるようになりました。原則は、一日8時間、週40時間ですが、36協定を従業員代表者(又は、過半数労組)の同意のもとに届出をすれば、月間45時間、年360時間までは残業させることができます。それでもそれを超えてしまうんだという会社は、上限規制の届出をすれば、年6回までは45時間を超えて働かせることができますが、上限は単月で100時間未満、複数月平均で80時間以内に、また年間720時間以内にする必要があります。大企業は、令和2年4月1日 ,中小企業は令和3年4月1日施行です(運転業務、医師、建設業は5年間の猶予措置があります)。

 

    36協定各種届出書式     

    https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/index.html

 

    36協定各種届出書式(記入例見本)

    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00041.html

 

    

働き方改革法案には、上記以外にも下記のものがあります。

1.労働時間の客観的把握義務(令和元年4月施行)

2.フレックスタイム制の3か月での清算処置への拡張(令和元年4月施行)

3.高度プロフェッショナル制度(令和元年4月施行)

4.産業医、産業保健機能の強化(令和元年4月施行)

5.勤務間インターバル制度の創設(令和元年4月施行)

   

同一労働同一賃金における定年後再雇用問題

同一労働同一賃金で定年後再雇用の労働者の人たちの賃金は、同一労働同一賃金の中でも悩ましい部分であり、対象者が続々と定年を迎える中、喫緊の課題であると考えます。現在では平成25年3月末日までに継続雇用制度となる基準を設けていれば適用は許されますが、そうでない場合は、再雇用希望者は65歳まで勤務させる義務があります。ただ、短時間・有期雇用労働法8条、9条が大企業だけでなく、令和3年4月から中小企業にも適用されることになりました。概略的には、定年後は有期労働者となり、その8条、9条が適用になり、定年前と定年後と同じ仕事内容、職務内容、責任度合いで働かせると同一の賃金の支払いが発生するということになります。そこで考える必要があるのは、定年後は有期の所謂 限定正社員として、勤務地限定、転勤無し、残業軽減、職種変更なし、責任軽減、年功賃金なしの考え方で、定年前とは仕事の内容に違いを明確に打ち出し、労働者の方に内容を理解してもらうことです。また各種手当の合理性の確認を行うことです。判例を基にお手伝いいたします。

 

 

定年後に60歳以降に他社から再就職した労働者がいる場合は、下記の無期転換ルールの例外特例について手続きをとる必要があります。

 

高度専門職・継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について

 

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000075676.pdf

 

 

働き方改革を実践することによるメリットとして考えられるものは下記のことがあると思います。

 

●一億総活躍時代で多様性のある人材確保で新しいアイデアが生まれる

 

●働き方改革企業は採用で人が集まりやすい

 

●社員の定着率が上がる(離職率が下がる)

 

●人件費の削減に繋がる(採用コストが下がる)

 

●有期労働者の方の働き甲斐が増え(モティベーションアップ)、会社への忠誠心が増える

 

●労使トラブルが減り、経営に専念できる

 

●健康経営につながるー健康な社員がいる職場ほど生産性が高い(親和性がある)ワークライフバランス

 

●効率が上がり生産性が向上する(工夫により限られた時間内で凝縮されるため)

 

●長時間労働が削減できる

 

●定年後も戦力となる方策が取れる

 

●働き方と同時に従来の考え方も変える

 

●働きやすい職場から働き甲斐のある職場へ変える

 

●この機会にピンチをチャンスに変える

 

各項目について支援させていただきます。

 

 

同一労働同一賃金の手法としての

職務分析、職務評価、人事評価、賃金・手当再構築

 

 人事制度には,COREな3制度があります。1.格付け制度(等級)、2.評価制度、3.賃金制度となります。特に近年の同一労働同一賃金により、日本の労働力人口の約4割が非正規労働者(パートタイマー、契約社員、嘱託社員)との統計があります。そのため、棚卸した職務に対して、責任度合いを含んだ職務内容という物差しで各人の職務評価、人事評価をして、有期労働者の方から賃金やその他労働条件に関して質問されたときに合理的に説明できる準備を整えることが必要です。特にまた、定年後再雇用された社員に対しても同様に説明義務もありますので、客観的な具体的な資料を基に説明する必要があります。納得させるところまで説明する必要はないようですが、理解をさせるところまでは説明義務があるようです。そのための賃金設計再構築の支援をお手伝いいたします。

 

 

職務評価と人事評価は異なるものであり、職務評価とは例えば課長であればその課長の椅子にいる人の役割の評価であり、人事評価はその椅子に座っているA課長の評価です。今後、人手不足時代に今後入ると思われます。その中で労働生産性を上げるために、また働き方改革の3本柱の一つである同一労働同一賃金の中で現在雇用している有期労働者の方々の職務評価・役割評価が必要となり、賃金処遇に差異がある場合はその説明を求められれば行う必要があります。厚生労働省のモデルでは、従業員別にリストアップして評価項目に応じて、ウェイト(業種による重要度)X スケール(業種による難易度)= ポイント で正社員と有期労働者の方々の比較を行っていき、この他に精神的負担や肉体的負担も併せて、数字で表して軽量化できれば客観的に評価し、見える化することが重要です。これをすれば、正社員と有期労働者の職務の大きさ、責任の違いや、均等・均衡待遇の状況が掴むことができます。これは最初の第一歩のステップですが、その手当が合理的か趣旨・目的・理由に照らして適正かの判断支援を行います。